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横浜ちょっと昔のちょっといい話

青少年センター今昔

1998年6月6日

  私事で恐縮ですが、私は工学部出身のエンジニアです。小さい時からいわゆる「ラジオ少年」、半田ごてを握っていました。親に似て、私の息子も、理科の実験とか大好き。まだ、小学校にも入っていない頃から、洋光台にある横浜こども科学館に時々行くのを楽しみにしています。この施設は小学生くらいの子供が科学を体験するのにとても役に立ちます。こんな施設がたくさんあれば、小学生の理科嫌いも解消されるのに・・と思うことがあります。こども科学館は1984年の開館ですから、当然私の小さい時にはありませんでした。息子と同じように、私も行くのを楽しみにしていたところと言えば、それは桜木町・紅葉坂にある県立青少年センターです。

 県立音楽堂や県立図書館に隣接する県立青少年センターは、1962年にオープンしました。ホールでは自主公演などもありますが、この建物の2階から上には科学展示室があり、いろいろなしかけの科学教材があって楽しめました。当時の記憶(昭和45年前後)をたどってみると・・・

 2階の入口を入るとオレンジ色の数字で「ただ今の入館者○○人」という表示があるロボットがお迎えしてくれました。2階の広い展示室にはいろいろな展示物がありました。筒の中に羽と鉄の玉をいれて、それを落とす実験は真空中では羽が鉄玉と同じく急落下するのにびっくりしました。電話の交換機のモデルでは電話をダイヤルすると、それに応じてクロスバー交換機が動くのをみることができました。交換機は大きな装置で、ガラスのケースに入っています。ダイヤルの「カチャカチャ」にあわせて大きなスイッチが回るのがとても迫力ありました。自動車の断面模型や、エンジンのサイクルの解説がありましたが、理解するにはちょっとむずかしかった。カロリー計算のコーナーもありました。食べたもののボタンを押すと合計のカロリーが表示され、そばの体重計では、体重を測定して、それを印字してくれます。4階に行くとプラネタリウムがありました。1回20円でした。4階のプラネタリウム入口前には温度や風速の記録計があって、ドラムの上に自動的にグラフを描いています。5階は休憩室、売店があり、また、屋上のドームでは天体望遠鏡を使った黒点の観測をやっていました。1日遊んでいても飽きませんでした。

 もう25年以上前の物だし、こども科学館もできたので、とっくに無くなっているかと思ったのですが、何と、まだ、当時と同じ施設がありました。98年3月、本当に久しぶりに青少年センターに行ってみました。中の展示物はほとんど入れ替わっているけれど、雰囲気は当時と全く同じです。凸面鏡、凹面鏡は当時からまったく変わっていない設備です。プラネタリウムもありました。今は高校生以下は無料、大人でも100円。プラネタリウムの入館時にもらえるパンフレットのデザインは25年前とまったく変わっていません。プラネタリウムの解説内容も同じです。時代がタイムスリップしたみたいです。ただ、違うことは、当時満員だったプラネタリウムががらがらだったこと。以前は屋上には自由に上れたのですが、今は太陽黒点の観察等の望遠鏡を使うイベントの時間のみ、入れます。ドームの隣にある日時計も以前と全く同じで、何か自分の育った場所に戻ってきたみたいで懐かしく思いました。

 この施設、平成12年には、旧警友病院跡にできる建物の中に移転する計画とのことで、望遠鏡のあるドームも残るかどうかわかりません。ちょっとさみしいことです。こども科学館に比べて、原理を説明する展示が多く、地味な感じは否めませんし、訪れる人もそれほど多くはいないようです。でも、息子に「青少年センターとこども科学館とどっちがおもしろい?」と聞いたら「同じくらい」という答えが返ってきて、なんとなくほっとしました。

追記

2003年5月11日

 この時に聞いたお話では平成12年に移転するという計画でしたが、建物は平成15年春から平成17年までの予定で改修されます。ただし、青少年センターの事業として、科学展示やプラネタリウムは廃止されたので、平成15年3月で科学展示室、プラネタリウム、天文台などは閉鎖されました。

アルバム

展示室 科学展示フロア。ちょっと古めかしい展示が多くありました。
(1998年3月29日撮影)
屋上の日時計 屋上の日時計。小学校の時代に見たものがそのまま残っているのに感動しました。
(1998年3月29日撮影)
天文台 天体望遠鏡のドーム。晴れた日には黒点観測を見学することが出来ました。その他、夏休みなど夜間に月の観測が行われていました。
(1998年3月29日撮影)
閉館後の全景 すでに閉館してしまった青少年センター本館。工事も始まっていました。この姿もまもなくなくなるのでしょう。上の丸い部分がプラネタリウムです。
(2003年5月1日撮影)

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(c) 2003 Masanori Kono