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横浜ちょっと昔のちょっといい話

どの横浜駅を知っていますか?

1998年11月28日

 みなとみらい地区の工事も進み、いよいよ平成12年頃にはみなとみらい21線が開通し、横浜駅で東横線と接続します。そのために、横浜駅の工事も本格的になってきました。今回は、その横浜駅のお話です。

 日本で最初の鉄道は新橋〜横浜間に引かれました。その時の横浜駅は今の桜木町駅付近です。東海道線が西に延びて、行き止まりの横浜駅が不便になったので、桜木町と改称し、二代目横浜駅が今の高島町付近にできましたがまもなくして関東大震災に会い、三代目として現在の位置に横浜駅が出来たのは昭和3年のことでした。

 ところで、横浜駅の玄関は東西どちら側か知っていますか?答えは「東口」です。今でも、バスでただ「横浜駅」行きと言ったら、東口に着きます。西口発着のバスは行先が「横浜駅西口」になっています。実際に戦後しばらく、と言っても10年以上も西口の駅前には何も無く、石油会社の所有していた駅前の土地は砂利置き場になっていました。複雑な所有地の関係を区画整理して、ようやく開発が始まりました。

 横浜駅から岡野町に行く通り沿いに運河があります。今は、ビブレのところで不自然に相鉄ムービルの方に直角に曲がっていますが、戦後しばらくは、そのまままっすぐ、今の岡田屋のあたりまで運河がのびていました。それを埋め立てることにより新たな土地を生み出し、区画整理の時に駅前広場を作ることができました。西口開発を推進した相鉄は核になるデパートを誘致しようとしましたが、何にも無い駅前の姿に、なかなか出店が決まりません。いきなりデパートは難しいので高島屋が「高島屋ストア」を作りました。同じ時期に名店街もできました。これは今のジョイナス1階の通路のあたりです。それが昭和31年頃の事です。今でもジョイナスにはその頃からのお店が何軒かあります。

 高島屋ストアがデパートになり、だんだんと西口は繁栄してきました。37年に東急ホテル、ステーションビル(今のシャル)が出来、39年にはバスターミナルの下にダイヤモンド地下街ができました。岡田屋、そして、48年相鉄ジョイナス、三越の開業により、ほぼ現在の駅前の姿になりました。市内で最大の高層ビル、天理ビルも同年オープンし、横浜駅西口は横浜の表玄関になりました。高度成長期とともに西口は繁栄してきたのです。

 西口が栄えていた頃、東口はスカイビルがあっただけでした。以前のスカイビルは上のラウンジが円形の展望レストランになっていて、それがゆっくりとまわっていました。窓際の席に座ると、移動しなくても360°の景色が楽しめたわけです。それ以外は、立派な駅舎や崎陽軒や郵便局があるだけで「表口」と言っても、寂れているわけではないけれど、ちょっと古いイメージの残る場所でした。

 東口が変わったのは昭和55年です。地下街ポルタと駅ビルルミネが開業しました。しかし、それは単に東口が変わったというより、横浜駅が変わった時でした。以前の横浜駅は今の新宿駅のように西口、東口に改札がありました。現在のシャルに上がるエスカレーター付近に、西口の改札があって、階段を降りた狭い通路から直接ホームに出られました。東口側の京浜急行から西口に行くには国鉄の通路を通って行くので二度改札を通ることになります。西口から東口に行くには入場券を買うか、自由通路を通る必要がありました。

 東口の駅ビル、地下街の完成とともに広い東西自由通路ができ、これにより買い物客も駅に分断されることなく、どちらの口にも行けるようになりました。60年には地下街の先にそごうがオープンして、東口も大きな商業地域になりましたが、自由通路による「回遊効果」により西口の売り上げも減らず、東西の相乗効果がでています。東口は西口より規模は小さいですが、おしゃれな感じの店が多いように思えます。そう言えば、そごうの紙袋は開業当時、全国の他のそごうと同じものを使用していたのですが、なぜか、横浜だけ「カッコ悪い」とクレームが付き、横浜限定のデザインの紙袋にしたこともあります。

 ところで、横浜中央郵便局は横浜駅の東口にあります。昔は郵便は鉄道で送っていましたので、大きな駅に隣接して郵便局があります。郵便車という特別の車輌もありました。当然、郵便を列車にのせるための通路が郵便局からホームまで通じていました。ホームには運搬用の荷物エレベータも有りました。現在京急の横浜駅に西口(相鉄方面)に抜ける通路がありますが、これは当時の郵便を運ぶ通路を補修して使っています。探してみると東海道線に抜ける秘密の出口があるかも知れませんね。

 最近でも、新スカイビルやホテルベイシェラトンの開業等、駅周辺も変化していますし、みなとみらい21線の乗り入れに伴って、北側と南側に自由通路ができるなど、まだまだ駅は変貌していきそうです。

追記

2003年5月11日

 みなとみらい線は予定より若干遅れましたが、2004(平成15)年2月に開業予定です。それにむけて横浜駅は工事の真っ最中です。京急の西口通路もまだありますが、工事が進み、郵便局からの地下通路ははっきり分からなくなりました。


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(c) 2003 Masanori Kono